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第3話 一度見た光景

Penulis: フクロウ
last update Tanggal publikasi: 2025-10-11 19:00:55

「街の様子はどうだ?」

 こう聞くと、兵士は『王子の成人を祝う町民たちで賑わっていますが、今のところ怪しい動きはなさそうです』と返してくる。記憶のなかにある声と、後ろから聞こえる声が重なって聞こえた。

「了解した。では、引き続き王子の警護を頼む」

「了解。しかし、アールグレン様はどこへ?」

「私は、一つ心当たりがあるのでな。では、失礼」

 兵士は兜の下からきょとんとした顔をのぞかせたが、すぐに元の配置へと向かった。それを見届けてから私は小走りでとある場所へと向かう。

 一度見た光景が同じようにくり返される。理由はわからない。だけど、今は「賊」をとらえるのが先決。

 混乱する頭を落ち着かせ、私は地下へと降りていった。

 成人の儀の喧騒とは打って変わって静寂に包まれた薄暗い階段を降りていく。足音はわざと革靴の音を立てていた。靴の音に怖気づき逃げていくならそれでいい。

 もちろん、私の思い過ごしであるならばそれにこしたことはない。賊は一人も現れず、王子の成人は平和に和やかに国中の皆に祝福された。最も素晴らしい理想的な形だ。

 だが、今日は王子がいよいよ公職に就かれる成人の儀。国に異を唱える者にとっては、王子を襲撃し、国の威信をおとしめる絶好の機会となる。

 ──なんて初仕事だから、格好つけて思っていたら本当にいたんだよね、賊が。

「看守長! 見回りだ!」

 牢屋への扉が近付いたので、私はわざと大声を張り上げた。記憶と違ってくれと願いながら。

 でも。やっぱり返事はない。つまり──。

 なかから斧が飛んでくる音が聞こえて、後ろへ跳んだ。目の前の扉が赤く燃え、次の瞬間には縦に真っ二つに割れた扉を壊しながら、見たことのある大男が姿を現した。

「あん? バレたかと思ったらオネエチャン一人か? 何しに来た?」

 うーまずい。非常にまずい。記憶の通りの品のない台詞を聞かされている。

 状況を呑み込めずに黙っていたからか、大男はにやりと気持ちの悪い笑みを浮かべた。

「怖い顔してるが、なかなかの美人だな。女だてらに剣か。全身の服、ひん剥いてやるよ」

 これは、記憶にない台詞だ。よかった。まったく予定調和のように進むわけではないらしい。

「どうした? ビビってんのか? まあ、大人しくしとけば痛い目にはあわさねぇ。あとでたっぷりかわいがってや──」

 素早く切り込むと、男が最後まで言い切る前に頭を叩いた。冷たい地面に、大男が倒れこむ。

「私の名前はティナ・アールグレン。王子の秘書官だ。私への侮辱は、そのまま国への侮辱にあたると思え」

 冷たい風に当たって頭は冷えた。まずは、賊をこの場から蹴散らす。

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